2025年7月25日(金)~28日(月) 彩の国さいたま芸術劇場 大ホール 〒338-8506 埼玉県さいたま市中央区上峰3-15-1 TEL:048-858-5500
これは一編の寓話劇です。ある星に、弱い国と強い国がありました。弱い国では、美しい国を目指す弱い大統領が国を率いて、美しい国作りを行っていました。強い国では、領土を広げたい強い国王が、軍備を増強していました。ついに強い国は、軍隊を率いて、弱い国を攻めてきました。弱い国は、どうしたでしょうか?
ストーリー 第一幕 争いのない、平和な星にするには、どうしたらいいのでしょう。女性作家が、自分が書いた童話を観客に語ります。「ある星に、弱い国と強い国がありました。弱い国の大統領は、幸せの国をめざしていました。強い国の国王は、一番強い国をめざしていました。」二つの国の風景が舞台上に描かれ、ミュージカルが始まります。 第二幕 強い国の取り調べ室。逮捕されたメロリスがビットリ元帥から取り調べを受けます。人は国の大義のために生きるべきだと主張する元帥の言葉を笑い飛ばすメロリス。国王の娘リビがメロリスの大ファンで父親を攻撃するため、メロリスの釈放が決まりました。メロリスはその足で弱い国に亡命します。自由になったメロリスをファンたちが歓迎します。
ミュージカル・ナンバー 第一幕 M1「序曲」・・・・・・・・・・インストルメンタル 第二幕 M12「第二幕序曲」・・・・・・・・・・インストルメンタル
初演(2024年6月公演)舞台写真
「平和な星」をめざして 脚本・作詞・演出・振付 ハマナカトオル
最近の地球情勢を憂慮しています。毎日ニュースを見ながら、平和な地球が訪れないことにつらい気持ちになります。考え続けた日々のなか、このミュージカルを発想しました。 アリストパネスの「女の平和」という戯曲があります。今から2,400年以上も前に、古代ギリシャで上演されたギリシャ喜劇です。男たちが戦争ばかりして困るので、女たちが戦争を続けるならセックス・ストライキをすると宣言。男たちはほとほと困って戦争をやめたという舞台劇です。「そんなことで戦争やめるかなあ」と思う方もいらっしゃるでしょう。でもこれはコメディ。笑いながら、人間というものについて考えるヒントにすればよいのです。「女の平和」は、現代でも反戦喜劇として力を持っています。2003年、アメリカがイラクに侵攻した「イラク戦争」の時、ヨーロッパの演劇人を中心としたプロジェクトが立ち上がり、全世界に呼びかけて、いっせいに「女の平和」の朗読会を行いました。その数、なんと59カ国。1,000箇所以上に及んだそうです。 私は、戦争喜劇というと、チャップリンの名作映画「独裁者」を思い浮かべます。笑いながら見ているうちに、平和と民主主義に期待する強いメッセージが胸に刺さり、「ああ、演劇を志す者は、こういう作品を作らなきゃだめだよなあ。」と思わされます。今回「平和な星」を作曲してくれる浅野五朗さんも何度も繰り返し観るほど好きな映画だそうです。「2001年宇宙の旅」の巨匠スタンリー・キューブリックの「博士の異常な愛情」も、評価の高い反戦喜劇映画です。この作品では、最後に核戦争が止められず地球規模で最悪の悲劇が起こるのですが、そうなってほしくないと誰にも思わせる強い力を持っています。 エンターテインメントに携わる人間として、反戦をメッセージに作品を作りたいという思いは、常に頭の中にあります。生きる意味と言っても過言ではない。今のロシアとウクライナ、イスラエルとパレスチナの悲惨なニュースを目にするたび、平和に導く方法はないものかと考えをめぐらします。「女の平和」が描いた平和に導くための方法とは違いますが、私も喜劇にしたいアイデアがあったので、この作品を書くことに決めました。 執筆は、約2ヶ月半。第一幕を書くのに2ヶ月。書き始めた頃はまだ世界観が出来上がっておらず、何度も書き直したりして時間がかかりました。第二幕はもう世界観が出来上がっていたので、疑問なく半月で書き上げました。こだわったのは二つ。すべてのシーンを喜劇で書くこと。架空の星の出来事だけど、地球の過去のオマージュをふんだんに入れること。「あ、これはアレからとったんだな」と分かるように散りばめました。人の命の重さについて、戦前の日本では「鴻毛より軽い」と言い、戦後の日本では「地球より重い」と言われました。ずいぶんな変わりようです。戦争をする国としない国でのこうした考え方の相違を、作品にして問いたかったのです。ミュージカルを作る人間として思いを込めたのは、メロリスの歌う平和を愛する歌が発禁になり、当局に拘束されて亡命するエピソードです。地球の過去にも、同じようなエピソードがたくさんあります。こんなミュージカルも平和でなくては絶対上演出来ませんから、エンターテインメントに携わる人間として発信したかった。メロリスの台詞には、ミュージカル・スタッフとしての私の思いが込められています。 私の場合、若い時の作品は夜書いた作品。年取ってからは朝型になったので、朝書いた作品ばかりです。この作品も朝のさわやかな光の中で書き上げた作品。台本から朝の香りがするミュージカルになりました。私が戦争を題材に書くのは、これが8本目。同じエピソードを書いたことは一度もありません。それほど考えさせられることが多いのです。戦争を考えることで、私は人生を送っているように感じています。 一緒にミュージカルを創ってくれる作曲家は、昨年「パラレル」で、素晴らしい音楽を作曲してくれた浅野五朗さん。今回も、場面にぴったりの素敵な曲たちが出来上がっています。壮大にして痛快。感動的で、ユーモアも感じる楽曲たち。前作も喜劇でしたが、喜劇タッチの作品に、浅野さんの曲は相性抜群だなあと感じています。サウンドが明るいのです。意図した通りの曲作りが出来ましたので、実力キャストの歌とダンスと演技によって完成する本番のパフォーマンスが楽しみです。振付に関しては、今回は私以外に、梅沢明恵さんと、アニメーションダンス振付としてmaekonさんに加わってもらいました。舞台は3人の振付家の競作となりますので、ダンスの個性の幅が広がって面白くなるのではないかと期待しています。キャストも、浦壁多恵さんを筆頭に古くからのお知り合いが多く、皆様信頼出来る芸達者な方ばかりですので、安心して稽古に挑めます。私のような仕事をしている者は、稽古場や劇場で、キャストやスタッフ、お客様からヒントをもらうことが多いのです。今回も、芸術的にたくさんのヒントをもらえた、有意義な創作期間となりました。 これは、ミュージカルで訴えたい平和への願いです。馬鹿馬鹿しいコメディ、絵本のような寓話劇ですが、笑っているうちに、誰もが平和への道を目指してほしい。平和な星であってほしい。そんな気持ちを込めて創作しました。今、日本の演劇人が作らなければならない舞台を目指したミュージカル「平和な星」。どうぞご観劇ください。
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ある星に、弱い国と強い国がありました。
これは一編の寓話劇です。ある星に、弱い国と強い国がありました。弱い国では、美しい国を目指す弱い大統領が国を率いて、美しい国作りを行っていました。強い国では、領土を広げたい強い国王が、軍備を増強していました。ついに強い国は、軍隊を率いて、弱い国を攻めてきました。弱い国は、どうしたでしょうか? これは一編のコメディ。平和な星になるための、おとぎ話です。
争いのない、平和な星にするには、どうしたらいいのでしょう。女性作家が、自分が書いた童話を観客に語ります。「ある星に、弱い国と強い国がありました。弱い国の大統領は、幸せの国をめざしていました。強い国の国王は、一番強い国をめざしていました。」二つの国の風景が舞台上に描かれ、ミュージカルが始まります。
突然、弱い国の大統領のもとへ、強い国の国王から国書が届きました。大昔、自分たちの領土だった聖地キナンを奪還するため、軍隊を侵攻させるというのです。軍隊を持っていない弱い国の閣僚たちは大慌て。どうしたらいいかまったく分かりません。一方強い国では、国王ウラル三世を神格化する伝説が、今日も生み出されていました。ウラル三世は、国民をまとめるためには敵を作ることが必要だと力説します。
家庭を大切にするポポロ大統領の妻アルマに新しい命が宿ったことが分かり、大統領の家族は大喜び。命を祝福して歌います。アルマの妹テルマも、幸せな姉夫婦に憧れて結婚を夢見ていました。強い国の女子野球チームは、金メダル獲得を国から命令されていました。チームを率いるビットリ元帥は、どんな手を使ってでも勝てと選手に気合いを入れます。
ポポロ大統領は、聖地キナンの歴史について学ぶため、法王クク十六世を招きます。法王は、キナンをめぐる三千年の両国の歴史を、聖書を元に紐解きます。弱い国の大統領秘書官ヘザーは、実は強い国の女スパイ、マラキでした。マラキは弱い国の情報を、強い国の国王に伝えていたのです。アルマが主宰する料理教室では、「料理は愛」をテーマに、料理の素晴らしさを生徒に教えていました。強い国の人気歌手メロリスのTVショーが放送され、彼女が歌った新曲「平和な星」が反戦歌であるという理由で、メロリスは国に逮捕され、曲は発売禁止となってファンを嘆かせます。
強い国の迎賓館で両国の命運をかけた首脳会談が始まります。なんとか戦争を回避したいポポロ大統領と弱い国の閣僚たちでしたが、国王と大統領の奥様同士のマウントの取り合いから、交渉は決裂。弱い国は強い国に宣戦布告されてしまいます。両国が戦争状態にはいったことが世界に報道され、一気に緊迫する人々。さあ、この星はどうなるのでしょう?
強い国の取り調べ室。逮捕されたメロリスがビットリ元帥から取り調べを受けます。人は国の大義のために生きるべきだと主張する元帥の言葉を笑い飛ばすメロリス。国王の娘リビがメロリスの大ファンで父親を攻撃するため、メロリスの釈放が決まりました。メロリスはその足で弱い国に亡命します。自由になったメロリスをファンたちが歓迎します。
弱い国の国務長官セシムは、戦争の恐怖に耐えられず、禁止されている酒に溺れてしまいます。セシムは「戦争はしてはいけない。人間一人の命は、何よりも重い」と言いますが、強い国の国王ウラル三世は、「人間一人の命は、鳥の羽根より軽い」と言い放ちます。自分の命の重さはどのくらいなのと聞く息子への返答に窮するウラル三世。人の命の重さは、はたしてどのくらいなのでしょうか?
いよいよ、敵の攻撃が迫ってきました。弱い国の閣僚たちは対策会議の真っ最中。しかし、対策会議と言っても軍隊もなければ武器もありません。閣僚たちは、ない知恵をしぼります。セシム国務長官が、敵の軍隊に呼びかけて、倍の給料を出して寝返えさせようと提案。しかし、この呼びかけ作戦はマラキを通じて敵の知るところとなり、成功しません。マラキはお色気でポポロ大統領を落とそうとしますが、大統領がマラキの誘惑に乗ることはありませんでした。
強い国の国王ウラル三世の息子、ウラル四世は、幼い頃から英雄だった父に憧れ、自分も父のような伝説を作るため戦争に行くと言い出して、反対する母ガベルと衝突し、家を飛び出します。ガベルは、息子を絶対に戦争に行かせないでと泣いて夫にせがみます。強い国の国王夫妻も、弱い国の大統領夫妻も、家族が無事に暮らすことを望んでいたのです。
アルマが子供たちに「どうしたら戦争しないですむかを考える遊びをしましょう」と持ちかけると、娘のアナは、「敵が攻めて来たら、料理を作ってもてなしましょう」と提案。この考えに賛同したアルマは、テレビで国民に、料理を作りましょうと呼びかけます。
国王ウラル三世は、この星を支配したつもりになって星のボールで遊びますが、遊びも思った通りにはいきません。ビットリ元帥率いる女子野球チームは、戦争を理由に大会への出場を断られましたが、それでも金メダルをあきらめないのでした。弱い国では、情報が敵にもれていることが分かり、内部にスパイがいるのではないかと疑心暗鬼になります。閣僚全員が疑われましたが、ついにヘザー秘書官が女スパイだと判明するのでした。
戦争直前。ウラル三世は兵隊の中から家出した息子を探し続けます。ポポロ大統領は子供たちを抱いて、父の願いを語って聞かせるのでした。
ついに強い国の軍隊は、弱い国に侵攻してきました。すると弱い国の人々は、おいしい料理と笑顔で軍隊をもてなします。驚き戸惑う軍人。しかし、みんなはやがて笑顔になって踊り出し、一発の銃弾も撃たれることはありませんでした。アルマは無事に出産し、ウラル三世夫妻は無事に息子を発見します。戦争は、笑顔のうちに終わったのでした。
1958年東京生まれ。ミュージカル作家・演出家・プロデューサー。俳優、宝田明氏が主催する宝田芸術学園でミュージカルを学び、舞台俳優の活動を経て脚本・演出家として独立。数々の作品を発表した。1993年から専門学校舞台芸術学院ミュージカル部別科の主任講師として、19回の卒業公演を作・演出。多くの生徒を育てた。1995年、国産の新作ミュージカルの創造と普及を目的に「ミュージカル座」を創立。劇団代表・座付作家・演出家・プロデューサーとして、「ひめゆり」「アイ・ハヴ・ア・ドリーム」「ゴーストミュージカル」「ロザリー」「ルルドの奇跡」「サイト」「アインシュタイン・フォーリーズ」「センス・オブ・ワンダー」「ガールズ・オン・ブロードウェイ」「ブロードウェイ殺人事件」「ニューヨーカーズ」「スウィング・ボーイズ」「舞台に立ちたい」「三人の花嫁」「コンチェルト」「雪の女王」「不思議なラヴ・ストーリー」「赤ひげ」「わだつみのこえ」「何処へ行く」「マザー・テレサ 愛のうた」「チェアーズ」「スター誕生」「おでかけ姫」「月に歌えば」「ハートスートラ」「結婚行進曲」「タイムトラベラー」「二人でミュージカル」「アワード」「クリスマスに歌えば」「踊る!埼玉」「ボードビル」「ファミリア!」「スター誕生2」「映画の都」「東京ミュージカル」「ハリウッドは大騒ぎ」「パラレル」「平和な星」「イソップランド」「ハーモニー」「ボディ」等のオリジナル・ミュージカルや、「ママの恋人」「野の花」等のストレートプレイを発表。劇団外では、松竹「花いくさ」、黒木瞳「ママ・ラヴズ・マンボ」シリーズ、「今井清隆ファースト・コンサート」、「イル・ミュージカーレ」などを手がける。最近では、新しいミュージカル作家・作曲家・演出家のプロデュースに意欲的に取り組み、新しいクリエイターによる多くのオリジナル・ミュージカルを製作。日本のミュージカルの成長と普及のために力を尽くしている。公益社団法人日本演劇協会会員。
エピック系の壮大なオーケストラ曲から、民族系、ロック、ジャズ、ポップスの歌モノ、アバンギャルドで前衛的なものまで、型に収まりきらない幅広いジャンルの音楽性で、これまで様々な方面での楽曲制作に関わる。京都在住で関西を拠点に音楽家として活動中。 主な作品はOSK日本歌劇団「Salieri&Mozart」、「JONNYS’ 2020WORLD(帝国劇場)」、一茶企画「Listen to My Life」、「レビュー春の踊り(新橋演舞場)」、「歌劇ザ・レビュー チーム奏(ハウステンボス会場)」、mint Music「HIGT FLY YELL!!(大阪・近鉄アート館)」、あにまるぷらねっと「星屑ヘリオグラフ」、NHKサウンドライブラリー等。ミュージカル座ハマナカトオルとは、2023年12月、ミュージカル「パラレル」の作曲・編曲・音楽監督として初コンビを組んだ。
東京都出身。ミュージカル座所属。
幼少期よりダンスを学び、レコード大賞や紅白歌合戦などダンサーとして多くのイベントやTV番組に出演。舞台芸術学院ミュージカル部別科卒業後、ミュージカル座創立と同時に入団。数多くの作品で演出助手や振付助手としてカンパニーを引っ張ってきた。「アイ・ハヴ・ア・ドリーム」「舞台に立ちたい」「サイト」「アワード」「プロパガンダ・コクピット」「雲母紙鳶」などでは振付も担当。黒木瞳主演「ママ・ラヴズ・マンボ」3作品では振付助手をつとめた。最近はハマナカトオル作品「ひめゆり」「何処へ行く」「ルルドの奇跡」「ハートスートラ」「ファミリア!」「ハリウッドは大騒ぎ」「サイト」「平和な星」「イソップランド」「ハーモニー」「ボディ」の演出・振付を担当している。
広島生まれ千葉育ち。6歳よりヴァイオリンを始める。東京音楽大学声楽演奏家コース卒業、同大学院修士課程修了。第47回イタリア声楽コンコルソ(シエナ部門)入選。二期会オペラ研修所、東京音楽大学非常勤助手などを経て、これまでに多数のオペラやコンサートに出演。国内外アーティストのバックコーラスとしても、コンサートや音楽番組、レコーディング等に参加。またNPO事業において各地で合唱指導、ピアノ伴奏、コンサートの運営等を行っている。ミュージカル座には「ひめゆり」神谷先生役、「ロザリー」アラン役、「何処へ行く」キロン役、「ゴーストミュージカル」おじいさん役、「ルルドの奇跡」ポミアン神父役、「東京ミュージカル」吉岡岩根/辻󠄀信夫役などで出演のほか、「ひめゆり」「ゴーストミュージカル」「パラレル」「平和な星」「ハーモニー」で歌唱指導をつとめている。
2025年07月25日(金) ~ 07月28日(月)
☞ JR埼京線「与野本町」駅(西口)下車 徒歩5分
048-858-5500
決定次第発表いたします。
ミュージカル座 |
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演目 |
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ミュージカル座 2025年7月公演 『平和な星』 |
劇場 |
彩の国さいたま芸術劇場 大ホール |
日程 |
2025年07月25日(金) ~ 07月28日(月) |
応募資格 |
《大人キャスト》 |
応募方法 |
【STEP1】 |
応募書類締切日 |
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2025年04月10日(木)【必着】 |
稽古 |
【稽古場】 |
備考 |
※チケットノルマはありませんが、チケット販売(S席料金の35枚分程度)のご協力をお願い致します。 |
宛先 |
【データ送付の場合】 【郵送の場合】 郵送での応募はできません |
お問合せ |
メールのみの対応となります。 second.seisaku@musical-za.co.jp (担当:金澤まみ宛) |
合否のお問合せには対応しておりません。
〠 330-0061
埼玉県さいたま市浦和区常盤9-8-15 松本ビル
【東京営業所】
〠170-0013
東京都豊島区東池袋1-34-5 いちご東池袋ビル6F
TEL:048-825-7460
FAX:048-825-7461
E-mail:m-za.info@musical-za.co.jp
最近の地球情勢を憂慮しています。毎日ニュースを見ながら、平和な地球が訪れないことにつらい気持ちになります。考え続けた日々のなか、このミュージカルを発想しました。
アリストパネスの「女の平和」という戯曲があります。今から2,400年以上も前に、古代ギリシャで上演されたギリシャ喜劇です。男たちが戦争ばかりして困るので、女たちが戦争を続けるならセックス・ストライキをすると宣言。男たちはほとほと困って戦争をやめたという舞台劇です。「そんなことで戦争やめるかなあ」と思う方もいらっしゃるでしょう。でもこれはコメディ。笑いながら、人間というものについて考えるヒントにすればよいのです。「女の平和」は、現代でも反戦喜劇として力を持っています。2003年、アメリカがイラクに侵攻した「イラク戦争」の時、ヨーロッパの演劇人を中心としたプロジェクトが立ち上がり、全世界に呼びかけて、いっせいに「女の平和」の朗読会を行いました。その数、なんと59カ国。1,000箇所以上に及んだそうです。
私は、戦争喜劇というと、チャップリンの名作映画「独裁者」を思い浮かべます。笑いながら見ているうちに、力強い平和と民主主義に期待するメッセージが胸に刺さり、「ああ、演劇を志す者は、こういう作品を作らなきゃだめだよなあ。」と思わされます。今回「平和な星」を作曲してくれる浅野五朗さんも何度も繰り返し観るほど好きな映画だそうです。「2001年宇宙の旅」の巨匠スタンリー・キューブリックの「博士の異常な愛情」も、評価の高い反戦喜劇映画です。この作品では、最後に核戦争が止められず地球規模で最悪の悲劇が起こるのですが、そうなってほしくないと誰にも思わせる強い力を持っています。
エンターテインメントに携わる人間として、反戦をメッセージに作品を作りたいという思いは、常に頭の中にあります。生きる意味と言っても過言ではない。今のロシアとウクライナ、イスラエルとパレスチナの悲惨なニュースを目にするたび、平和に導く方法はないものかと考えをめぐらします。「女の平和」が描いた平和に導くための方法とは違いますが、私もアイデアがあったので、この作品を書くことに決めました。
一緒にミュージカルを創ってくれる作曲家は、昨年「パラレル」で、素晴らしい音楽を作曲してくれた浅野五朗さん。今回も、場面にぴったりの素敵な曲たちが出来上がっています。壮大で、痛快。ユーモアも感じる楽曲たち。前作も喜劇でしたが、喜劇タッチの作品に、浅野さんの曲は相性ばっちりだなあと感じています。実力キャストの歌とダンスと演技によって完成する本番のパフォーマンスが楽しみです。
これは、ミュージカルで訴えたい平和への願いです。馬鹿馬鹿しいコメディ、絵本のような寓話劇ですが、笑っているうちに、誰もが平和への道を目指してほしい。平和な星であってほしい。そんな気持ちを込めて創作します。今、日本の演劇人が作らなければならない舞台を目指して挑みたいと思います。どうぞご期待ください。