|
ミュージカル座30周年の夢 劇団代表 ハマナカトオル 1995年からスタートしたミュージカル座も今年で創立30周年。いろいろなことがあったけど、続けて来られたのは、新作ミュージカルの創作が面白かったから。この世の中を眺め渡し、ミュージカルの歴史を辿って、過去に上演されていない題材を見つけミュージカル化する仕事は、まさに私の天職。全身全霊をかけて挑み続けられる仕事でした。執筆する時の覚悟は、まさに限界への挑戦。傑作・名作を生み出さずして、書く理由はありません。キャスト・スタッフ・観客に対して「どうしてもこれを観てください。」と言える作品を作るため、宇宙の果てまで旅して作品を見つけてくるような作業。これが本当に面白かったから、それ以外の血を吐くような苦労を背負ってでも、負けずに続けて来られたのだと思う。今は評価されなくても、やがて時が満ちれば評価される作品を書く。そのためには修羅になって作品にこだわり、創作に励もう。いっさい手を抜きたいと思えない仕事だから面白いのだ。時給じゃない仕事だから面白いのだ。「ミュージカルをつくる」仕事は、世界一面白い仕事だ。今の日本では認められていないけど、いつか生の人間が演じる生の舞台のよさが評価される時が来る。そのことを信じてクラシックを作り続けよう。命が続く限り。 ミュージカル劇団の存続に関して、私が時々思いを馳せるのは、イギリスのロイヤル・シェイクスピア・カンパニー(RSC)だ。1875年に創立されたこの劇団は、シェイクスピア存命中に作られた劇団ではない。シェイクスピアが死んだ1616年から250年以上たってから創立した劇団だ。もう一度言いますが、作家が死んで250年後にスタートですよ!シェイクスピアの作品を中心に、新しい劇作家の作品や「レ・ミゼラブル」などの世界的ミュージカル上演も企画・製作する。この劇団が存続して来られた最大の理由は、シェイクスピアが生涯で40作品ほどの戯曲を残してくれたおかげだ。40作品あれば、年間10公演シェイクスピア作品でレパートリーを組んでも、同じ作品が回ってくるのは4年に一度。充分に活動の基本となれる。しかもシェイクスピア作品は、俳優や演出家の教育にも最適だ!舞台芸術の基本は、なんと言っても戯曲(台本)なのだ。傑作を40残せば、未来へ続く劇団が可能になる。私はそう思って創作に励んでいる。一人の人間の人生は短いが、芸術は長い。ギリシャ劇などは2千年以上続いている。シェイクスピア劇も未来に続くだろう。それでは、日本のミュージカルは? 今は答えを見いだせないが、希望を持って続けよう。いいものは、きっと残り続けるのだから。 日本のミュージカルのこれからを考える時に、是非実現したい夢がある。それは、国産ミュージカルの外国上演と、ミュージカル映画(あるいは動画)の実現だ。その夢が実現出来るまで私の命があればよいのだが、間に合わなければ後世に托そう。しかし、なんとか実現させたいと思い続けている。どなたか、協力をお願い出来る方がいれば、是非、お話しましょう。 最後に、これまでミュージカル座の活動を支えてくれた劇団員、キャスト、スタッフ、お客様に、命からの御礼を。そして、未来の日本のミュージカルを支えてみようと思ってくださる方がいらしたら、是非、一緒に組みましょう。きっと、面白いことが出来るはずです。
|