新約聖書をもとに、イエス・キリストの物語と教えを、美しい歌と音楽で綴った
新約聖書をもとに、少人数のキャストが、小さな劇場で、美しい歌と音楽で綴るイエス・キリストの奇跡の物語。心洗われるミュージカルです。1時間半という短い時間のなかで、ミュージカルだからこそ表現できる愛と奇跡に触れてください。
2025年 4月23日(水)~30日(水)
■上演スケジュール 上演時間:約1時間30分(休憩なし)
※受付開始および開場は、開演の30分前です。
最も美しいミュージカルを目指します。 脚本・作詞・演出 ハマナカトオル
私は過去、「ルルドの奇跡」や「何処へ行く」などで、キリスト教の世界観を描いたミュージカル作品をいくつか発表してきました。ヨーロッパの歴史や文化を学ぶ時、不可欠な題材でした。しかし、キリストの物語そのものは描いたことがありませんでした。 ヨーロッパには「オラトリオ」という形式の舞台があります。宗教的な内容の物語を音楽で綴ったオペラのような形式ですが、オペラと違って演技や背景、衣裳はありません。私はこの「オラトリオ」のような舞台を作ってみたいと以前から思っていて、作曲の西出真理さんたちに別作品の稽古場で相談していました。キャストたちが楽譜を持って歌うだけで、ひとつの物語になる形式です。簡単に上演出来ますので、全国のコーラスグループや音楽家協会などで使ってもらえる作品がいいなと思っていました。今回の公演では、演技や背景、衣裳などを作って小さなミュージカルとして上演致しますが、創作の根幹には「オラトリオ」を書くというのをイメージして作りたいと思っています。 今回の舞台のコンセプトは、「最も美しいミュージカル」を作るということです。美しさには様々な基準があることは承知していますが、美しさにこだわって作りたいと考えています。物語の美しさ、音楽の美しさ、ソロやハーモニーの美しさ、心の美しさ。「山上の垂訓」として知られる「心貧しきものは幸いである」というようなイエスの教えのひとつひとつが、音楽的な美しさを伴って迫ってくる、まさに心洗われる舞台を目指したいと思います。 20世紀以降、科学の発達のおかげで、聖書に書かれてある奇跡が、説明しにくい時代となってきました。死人を甦らせたり、水の上を歩いたり、パンを増やしたりという奇跡を、今の人にどう伝えるべきか、あちこちで苦労のほどがしのばれます。聖書を解説した本では、奇跡を比喩的表現として解説してみたり、有名なミュージカルの「ジーザス・クライスト=スーパースター」では、キリストの復活を含めて奇跡はほとんど出てきません。しかし、普段から面白いフィクションをさがしている私のような立場の人間からすると、奇跡は何も困りません。ゴジラや宇宙人の出現が困らないのと同じです。そういうことがあったと資料のままに舞台に描き、信じるか信じないかは、あなた次第ですという立場でいいと思っています。そういう意味で、この作品には奇跡がいっぱいです。新約聖書には、40以上の奇跡が書かれています。そうした奇跡を前にして、この世には奇跡がいっぱいだと感じてみるのもいいことだと、私は思っています。奇跡がまったく起こらない世界に住むより、奇跡が起こる世界に住みたいですから。私がこのようなミュージカルを作ることも、奇跡のなせるわざなのかもしれないと想像しながら、作ってみたいと思っています。これから数ヶ月、久しぶりに聖書を再読し学びながら、この美しいミュージカルを作るために最善を尽くします。春4月の公演です。どうぞお楽しみに!
私がこの作品の音楽を通して描きたいこと 作曲・編曲・音楽監督 西出真理
ミュージカル「ピエ・イエス」の作曲・編曲・音楽監督をつとめさせて頂く運びとなりました。ハマナカトオル先生脚本の作品に音楽をつけさせていただくのは、本作品が6作目です。 イエス・キリストの生涯や奇跡を描く本作。幼少の頃より西洋音楽(クラシック)に触れてきた自分にとって、キリスト教の世界観は、音楽を学ぶ上で重要な要素の一つでした。また、私が通っていた高校はプロテスタント系でしたので、高校時代は毎日休み時間に礼拝に参加し、聖書の授業やテストもあり、オルガン部に入っていた私は礼拝で奏楽を演奏したこともありました。思えば、高校時代の青春の半分はオルガン部に捧げていた気がします。大学院時代の修士論文のテーマも、敬虔なカトリック教徒である作曲家オリヴィエ・メシアンのオルガン作品に関する内容でした。 …というように、学生時代はキリスト教になじみのある生活を送ってきた私自身ですが、「神様」や「奇跡」についての本当のところがどうなのかは、よくわからないままなのが正直なところです。私は神様にお会いしたことはございませんし、お正月には神社で初詣をしてお札を買い、法事ではお寺に足を運び、クリスマスにはツリーを飾り、舞台で劇場入りをすれば神棚にご挨拶、心地よい風や食べ物の美味しさを感じては万物に宿る精霊らしきものに感謝…というように、その時々で多種多様な神仏に感謝して私なりに敬意を払う、という日常を送っております。それに現実のこの世界はあまりにも悲しいことや酷なことも多すぎて、歳を重ねるにつれて、「奇跡」というものを信じにくくなってしまった気がします。 そういったこともあり、このご挨拶文に何を書こうかと、ここ数週間ほど少しだけ頭を悩ませておりました。 けれども、そんな中でふと気づいたいくつかのことがあります。 神様にお会いしたことはないけれど、神様を信頼心から信頼する友人達の優しさに救われたことはあります。もしかしたら、そういった方達の存在を通して、私は神様の愛を受け取ったのかもしれません。 イエスの起こした奇跡をこの目で見たことはないけれど、人間も植物も動物も、そしてこの惑星に存在するあらゆるものが何処からやってきたのかを、私達はまだ誰も知りません。もしかしたらこの宇宙の現象のすべてと、私達の命一つ一つそのものが、とてつもない奇跡なのかもしれません。 イエスの復活をこの目で見たわけではありませんが、イエスの教えの中心にある「愛(アガペー)」には、生きてきた中で何百回も何千回も触れてきました。もしかしたらそれこそが、現代も多くの人の心にイエスの教えが息づいている理由なのかもしれません。 国や時代や宗教の垣根を超えて自分が人としてどう在りたいかを考えた時に、「隣人を愛すること」「地の塩、世の光であれ」「心の貧しいものは幸いである」などというように、きっとこれから先の未来に通じるヒントとなる言葉も、聖書にはたくさん書かれております。 私がこの作品の音楽を通して描きたいこと。きっと神様やイエスの奇跡を証明しようと躍起になる必要は全くなくて、約2000年前から今日に伝わる物語を、未来への祈りを込めて真摯に、音楽とともに描けばよいのだと感じました。もちろん、観劇してくださった方々がどう感じて何を持ち帰って下さるかはお客様次第です。どのような作品に仕上がるのか、私も今からとても楽しみです。どうぞ劇場まで足をお運びいただければ幸いです。
スタッフ プロフィール紹介
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新約聖書をもとに、イエス・キリストの物語と教えを、美しい歌と音楽で綴った心洗われる珠玉のミュージカル。春4月開幕です。どうぞご期待ください。
新約聖書をもとに、少人数のキャストが、小さな劇場で、美しい歌と音楽で綴るイエス・キリストの奇跡の物語。心洗われるミュージカルです。1時間半という短い時間のなかで、ミュージカルだからこそ表現できる愛と奇跡に触れてください。
1958年東京生まれ。ミュージカル作家・演出家・プロデューサー。俳優、宝田明氏が主催する宝田芸術学園でミュージカルを学び、舞台俳優の活動を経て脚本・演出家として独立。数々の作品を発表した。1993年から専門学校舞台芸術学院ミュージカル部別科の主任講師として、19回の卒業公演を作・演出。多くの生徒を育てた。1995年、国産の新作ミュージカルの創造と普及を目的に「ミュージカル座」を創立。劇団代表・座付作家・演出家・プロデューサーとして、「ひめゆり」「アイ・ハヴ・ア・ドリーム」「ゴースト」「ロザリー」「ルルドの奇跡」「サイト」「アインシュタイン・フォーリーズ」「センス・オブ・ワンダー」「ガールズ・オン・ブロードウェイ」「ブロードウェイ殺人事件」「ニューヨーカーズ」「スウィング・ボーイズ」「舞台に立ちたい」「三人の花嫁」「コンチェルト」「雪の女王」「不思議なラヴ・ストーリー」「赤ひげ」「わだつみのこえ」「何処へ行く」「マザー・テレサ 愛のうた」「チェアーズ」「スター誕生」「おでかけ姫」「月に歌えば」「ハートスートラ」「結婚行進曲」「タイムトラベラー」「二人でミュージカル」「アワード」「クリスマスに歌えば」「踊る!埼玉」「ボードビル」「ファミア!」「スター誕生2」「映画の都」「東京ミュージカル」「ハリウッドは大騒ぎ」「パラレル」「平和な星」「イソップランド」「ハーモニー」等のオリジナル・ミュージカルや、「ママの恋人」「野の花」等のストレートプレイを発表。劇団外では、松竹「花いくさ」、黒木瞳「ママ・ラヴズ・マンボ」シリーズ、「今井清隆ファースト・コンサート」、「イル・ミュージカーレ」などを手がける。最近では、新しいミュージカル作家・作曲家・演出家のプロデュースに意欲的に取り組み、新しいクリエイターによる多くのオリジナル・ミュージカルを製作。日本のミュージカルの成長と普及のために力を尽くしている。公益社団法人日本演劇協会会員。2021年、「ハマナカトオル作品集」HPを開設。次回作は、2025年2月初演予定のミュージカル「ボディ ~ボクと私のからだ」。
オーストラリア・シドニー生まれ。香港、東京育ち。日本大学芸術学部 音楽学科 作曲コース卒業、大学院芸術学研究科 音楽芸術(作曲) 専攻博士前期課程修了。大学ではクラシックや現代音楽の作曲法を学びながら、ミュージカル研究会に所属し、オリジナル・ミュージカル作品の作編曲や音源製作をする。卒業後も、舞台や映像作品、TV・ ラジオ・ ゲームのBGM、ポップス、クラシック等、多方面で作編曲活動を行う。国際ピアノデュオ作曲コンクール入賞、他多数受賞。
2018年には、人気ゲーム「ペルソナ」シリーズのショーイベントで使用される、ラップ・ミュージカル曲の作曲及び編曲をした。
近年音楽を担当した舞台作品に、「A Brilliant Christmas」「うねり〜踊らない二人〜」(ワンダーヴィレッジ主催)、「元彼鎮魂歌〜モトカレクイエム〜」(Mayolesque企画製作)など。舞台作品以外にも、アプリゲーム「メメントモリ」(キャラクターソング作曲)、Nintendo Switch用ゲーム「ときめきメモリアル Girl’s Side 4th Heart」(BGM編曲)、環境省による屋久島マナー動画「Island of Water YAKUSHIMA ~悠久をつむぐ屋久島~」(BGM作編曲)など、多岐に渡る作編曲活動を行っている。
2019年より、ミュージカル座ハマナカトオルとのコンビでミュージカル 「不思議なラヴ・ストーリー」「ファミリア! 」「映画の都」「ハリウッドは大騒ぎ」「イソップランド」を、苅谷和暉子とのコンビでミュージカル「相依為命~あいよっていのちをなす~」「MONTAGE」の作曲・編曲・音楽監督を手がけている。
東京都出身。ミュージカル座所属。
幼少期よりダンスを学び、レコード大賞や紅白歌合戦などダンサーとして多くのイベントやTV番組に出演。舞台芸術学院ミュージカル部別科卒業後、ミュージカル座創立と同時に入団。数多くの作品で演出助手や振付助手としてカンパニーを引っ張ってきた。「アイ・ハヴ・ア・ドリーム」「舞台に立ちたい」「サイト」「アワード」「プロパガンダ・コクピット」「雲母紙鳶」などでは振付も担当。黒木瞳主演「ママ・ラヴズ・マンボ」3作品では振付助手をつとめた。最近はハマナカトオル作品「ひめゆり」「何処へ行く」「ルルドの奇跡」「ハートスートラ」「ファミリア!」「ハリウッドは大騒ぎ」「平和な星」「イソップランド」「ハーモニー」の演出・振付を担当している。
東京都出身。声楽家の両親の元に生まれ、幼少期よりクラッシック音楽に親しむ。国立音楽大学声楽学科卒業後、ミュージカル座に入団。ミュージカル座公演、多数出演と同時に、数々のミュージカル座作品で歌唱指導・音楽監督助手を務める。主な音楽監督助手・歌唱指導作品に、ミュージカル座「ひめゆり」「ルルドの奇跡」「マザー・テレサ〜愛の歌〜」「何処へ行く」等の全編歌で綴られるポップオペラ形式の作品、また「ジュニア」や「イソップランド」など子供作品の歌唱指導にも携わっている。作曲・編曲・音楽監督の西出真理さんとは、「ハリウッドは大騒ぎ」「イソップランド」に続き3作品目となる。
ミュージカル座朝レッスン声楽講師、碗プロダクションボーカル講師等、後進の育成にも力を注いでいる。
2025年04月23日(水) ~ 04月30日(水)
☞ JR中央・総武線/東京メトロ東西線「中野駅」南口より徒歩5分
☎ 03 -3381-8422
ヒル | ヨル | |
4/23(水) | A・月組 18:30 |
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4/24(木) | B・星組 18:30 |
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4/25(金) | A・空組 14:00 |
B・月組 18:30 |
4/26(土) | B・星組 13:00 |
A・空組 17:00 |
4/27(日) | A・月組 13:00 |
B・星組 17:00 |
4/28(月) | A・空組 18:30 |
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4/29(火) | B・空組 13:00 |
A・月組 17:00 |
4/30(水) | B・星組 13:00 |
受付開始および開場は、開演の30分前です。
※本公演は月組・星組・空組のトリプル/A組・B組のダブル/一部シングルキャストで上演致します。
※出演者ならびに出演スケジュールに変更がありました場合は、
何卒悪しからずご了承下さい。
出演者変更の場合でも、払い戻しはいたしかねます。
※残席ある場合は、劇場受付にて当日券を開演30分前より販売いたします。
ご観劇当日のご予約は承っておりません。当日券をご利用下さい。
※未就学児童のお子様のご入場はできません。
※車いすのお客様は、ご予約前に必ずミュージカル座までご連絡をお願い致します。
ミュージカル座 |
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ミュージカル座 |
私がこの作品の音楽を通して描きたいこと
西出真理 【作曲・編曲・音楽監督】
ミュージカル「ピエ・イエス」の作曲・編曲・音楽監督をつとめさせて頂く運びとなりました。ハマナカトオル先生脚本の作品に音楽をつけさせていただくのは、本作品が6作目です。
イエス・キリストの生涯や奇跡を描く本作。幼少の頃より西洋音楽(クラシック)に触れてきた自分にとって、キリスト教の世界観は、音楽を学ぶ上で重要な要素の一つでした。また、私が通っていた高校はプロテスタント系でしたので、高校時代は毎日休み時間に礼拝に参加し、聖書の授業やテストもあり、オルガン部に入っていた私は礼拝で奏楽を演奏したこともありました。思えば、高校時代の青春の半分はオルガン部に捧げていた気がします。大学院時代の修士論文のテーマも、敬虔なカトリック教徒である作曲家オリヴィエ・メシアンのオルガン作品に関する内容でした。
…というように、学生時代はキリスト教になじみのある生活を送ってきた私自身ですが、「神様」や「奇跡」についての本当のところがどうなのかは、よくわからないままなのが正直なところです。私は神様にお会いしたことはございませんし、お正月には神社で初詣をしてお札を買い、法事ではお寺に足を運び、クリスマスにはツリーを飾り、舞台で劇場入りをすれば神棚にご挨拶、心地よい風や食べ物の美味しさを感じては万物に宿る精霊らしきものに感謝…というように、その時々で多種多様な神仏に感謝して私なりに敬意を払う、という日常を送っております。それに現実のこの世界はあまりにも悲しいことや酷なことも多すぎて、歳を重ねるにつれて、「奇跡」というものを信じにくくなってしまった気がします。
そういったこともあり、このご挨拶文に何を書こうかと、ここ数週間ほど少しだけ頭を悩ませておりました。
けれども、そんな中でふと気づいたいくつかのことがあります。
神様にお会いしたことはないけれど、神様を信頼心から信頼する友人達の優しさに救われたことはあります。もしかしたら、そういった方達の存在を通して、私は神様の愛を受け取ったのかもしれません。
イエスの起こした奇跡をこの目で見たことはないけれど、人間も植物も動物も、そしてこの惑星に存在するあらゆるものが何処からやってきたのかを、私達はまだ誰も知りません。もしかしたらこの宇宙の現象のすべてと、私達の命一つ一つそのものが、とてつもない奇跡なのかもしれません。
イエスの復活をこの目で見たわけではありませんが、イエスの教えの中心にある「愛(アガペー)」には、生きてきた中で何百回も何千回も触れてきました。もしかしたらそれこそが、現代も多くの人の心にイエスの教えが息づいている理由なのかもしれません。
国や時代や宗教の垣根を超えて自分が人としてどう在りたいかを考えた時に、「隣人を愛すること」「地の塩、世の光であれ」「心の貧しいものは幸いである」などというように、きっとこれから先の未来に通じるヒントとなる言葉も、聖書にはたくさん書かれております。
私がこの作品の音楽を通して描きたいこと。きっと神様やイエスの奇跡を証明しようと躍起になる必要は全くなくて、約2000年前から今日に伝わる物語を、未来への祈りを込めて真摯に、音楽とともに描けばよいのだと感じました。もちろん、観劇してくださった方々がどう感じて何を持ち帰って下さるかはお客様次第です。どのような作品に仕上がるのか、私も今からとても楽しみです。どうぞ劇場まで足をお運びいただければ幸いです。
〠 330-0061
埼玉県さいたま市浦和区常盤9-8-15 松本ビル
【東京営業所】
〠170-0013
東京都豊島区東池袋1-34-5 いちご東池袋ビル6F
TEL:048-825-7460
FAX:048-825-7461
E-mail:m-za.info@musical-za.co.jp
私は過去、「ルルドの奇跡」や「何処へ行く」などで、キリスト教の世界観を描いたミュージカル作品をいくつか発表してきました。ヨーロッパの歴史や文化を学ぶ時、不可欠な題材でした。しかし、キリストの物語そのものは描いたことがありませんでした。
ヨーロッパには「オラトリオ」という形式の舞台があります。宗教的な内容の物語を音楽で綴ったオペラのような形式ですが、オペラと違って演技や背景、衣裳はありません。私はこの「オラトリオ」のような舞台を作ってみたいと以前から思っていて、作曲の西出真理さんたちに別作品の稽古場で相談していました。キャストたちが楽譜を持って歌うだけで、ひとつの物語になる形式です。簡単に上演出来ますので、全国のコーラスグループや音楽家協会などで使ってもらえる作品がいいなと思っていました。今回の公演では、演技や背景、衣裳などを作って小さなミュージカルとして上演致しますが、創作の根幹には「オラトリオ」を書くというのをイメージして作りたいと思っています。
今回の舞台のコンセプトは、「最も美しいミュージカル」を作るということです。美しさには様々な基準があることは承知していますが、美しさにこだわって作りたいと考えています。物語の美しさ、音楽の美しさ、ソロやハーモニーの美しさ、心の美しさ。「山上の垂訓」として知られる「心貧しきものは幸いである」というようなイエスの教えのひとつひとつが、音楽的な美しさを伴って迫ってくる、まさに心洗われる舞台を目指したいと思います。
20世紀以降、科学の発達のおかげで、聖書に書かれてある奇跡が、説明しにくい時代となってきました。死人を甦らせたり、水の上を歩いたり、パンを増やしたりという奇跡を、今の人にどう伝えるべきか、あちこちで苦労のほどがしのばれます。聖書を解説した本では、奇跡を比喩的表現として解説してみたり、有名なミュージカルの「ジーザス・クライスト=スーパースター」では、キリストの復活を含めて奇跡はほとんど出てきません。しかし、普段から面白いフィクションをさがしている私のような立場の人間からすると、奇跡は何も困りません。ゴジラや宇宙人の出現が困らないのと同じです。そういうことがあったと資料のままに舞台に描き、信じるか信じないかは、あなた次第ですという立場でいいと思っています。そういう意味で、この作品には奇跡がいっぱいです。新約聖書には、40以上の奇跡が書かれています。そうした奇跡を前にして、この世には奇跡がいっぱいだと感じてみるのもいいことだと、私は思っています。奇跡がまったく起こらない世界に住むより、奇跡が起こる世界に住みたいですから。私がこのようなミュージカルを作ることも、奇跡のなせるわざなのかもしれないと想像しながら、作ってみたいと思っています。これから数ヶ月、久しぶりに聖書を再読し学びながら、この美しいミュージカルを作るために最善を尽くします。春4月の公演です。どうぞお楽しみに!