竹本敏彰作・演出による爆笑ミュージカル・コメディ第3弾。一段とスケールアップした舞台となった。
新劇場のこけら落とし公演で巻き起こる舞台裏のトラブルを描いた作品で、劇作家、演出助手の二人を中心に、作曲家、大物俳優、プロデューサー、スポンサー、舞台監督、衣裳、照明スタッフ、俳優、コーラスガールなど公演に携わるメンバーが、困難の連続の中、初演のステージを綱渡りで成功させるまでのドタバタを描く。
一幕は、顔合わせから舞台「オペラちゃんちゃかちゃん」が稽古でつくられて行く過程を描き、二幕は、初日の本番の舞台裏の様子が描かれる。本番が始まっても、なおラストシーンをどうするかが決まってなく、巻き起こるトラブルの連続のなか、劇作家や舞台監督、俳優たちが必死の努力で舞台を遂行させて行く。一幕の劇中劇で演じられるオペラは、重厚な音楽によるシリアスなポップオペラ調の作品になっており、舞台裏のドタバタ・コメディとの落差が際立つ仕掛けとなっていた。本番中の小道具や衣裳のトラブル、出演者が急に倒れて代役を立てざるを得ない状況や、台本をめぐる作家と大物俳優との意見の衝突など、様々なトラブルが続く。若い劇作家が修羅場を経験して成長する物語であり、パートナー役の演出助手と共に困難を克服する友情物語でもある。「この現場を経験すれば怖いものはなくなる」という二人の会話が、やり遂げることの大切さを訴えていた。
開幕から終幕まで、ほぼ客席の笑い声が途切れることのない楽しい舞台で、喜劇作家竹本敏彰の腕をアピールする公演となった。再演で練り上げられれば、さらに充実した作品に成長するだろう。初めて竹本とコンビを組んだ作曲家木村直樹氏のオリジナル曲も好評だった。
振付=小川こういち・中村さち恵、協賛=株式会社イー・トライヴ、株式会社アールケーシー、株式会社ディー・エム・シー・インターナショナル 火鉢グリル&ダイニング、協力=THEATRE1010。出演=菊地まさはる、中本吉成、阿部よしつぐ、国友よしひろ、伊藤俊彦、KAZZ、赤座浩彦、高原達也、佐野信輔、尾花宏行、櫻井太郎、三宅文子、福地洋子、会川彩子、片桐和美、木村美穂、青島凛、村田綾子、深沢美貴子、川田真由美、山本英美ほか。
2006年10月、THEATRE1010にて初演。