自分の部屋から一歩も外へ出られないひきこもりっこが、インターネットで会話する見知らぬ友人たちの声に励まされ、生きる勇気を取り戻すまでを描いた作品。現代の東京に生きる若者たちの心を描いたミュージカルだ。
主人公のひきこもりっこ(伊東恵里)は、インターネットに日記を書き始める。自殺願望の彼女が書いた言葉に、見も知らぬ人々から返事が届き始める。人々は皆、ハンドルネームと呼ばれる別名で会話を続け、互いに顔も知らない中で、次第に心の結びつきが生まれる。
渋谷が大好きなロビンちゃん、妹をイジメで亡くしたイサム、世界中旅をしながらパソコンで会話する笑う旅人、ひきこもりで5年間一度もお風呂にはいっていないなげやり娘、学校の先生からサイボーグとアダ名をつけられ、それがきっかけでイジメにあっている男の子、交通事故がきっかけで心が荒れ、家庭内暴力を引き起こしている七浪生など、多くの若者が登場して、自分について、社会について、将来について語り合う。
ハンドルネームからイメージされた奇妙な登場人物が、ひきこもりっこの部屋である舞台上でにぎやかに歌い踊る作品で、ダンスも多い。彼らが街で出会うラストシーン以外は全編歌とダンスで進行する構成で、ミュージカル・ナンバーは33曲。ミュージカル座には初登場となる原田優一がイサム役を演じ、フレッシュな魅力を見せた。