【脚本・作詞 竹本敏彰】
執筆開始した2009年は、派遣切り、就職難民、内定取消し、政権交代、事業仕分け、などの言葉が世に飛び交い、社会に閉塞感が拡がっていました。ゆとり教育により過度な競争を避け、運動会も手を繋ぎ横並びでゴールするなどの異様さを感じていたのもこの頃で、草食男子という言葉も生まれました。インターネットにさえ繋がっていれば、人間と繋がらなくても生活出来る現代に生きていれば、昭和を懐古したくなるのは自然の流れでした。
物語が始まる1968年は様々な大学で全学共闘会議(全共闘)が結成され、学生たちは大学の組織・制度の批判に始まり、社会や政治、学ぶこと、生きること、様々な側面について真剣に考え、議論し、行動した時代でした。高度経済成長のまっただ中で、悩み、苦しみながら、ある種の使命感を持ち、希望ある未来を求め、その瞬間をたくましく生きた若者たちの魂の叫びを、耳を劈くようなロック・ミュージックやフォークソングをベースに構成しました。
「タイム・フライズ」の象徴でもある、盆上で回る鉄骨3階建ての巨大なセットに、お目に掛かれるかと思うと、とてもワクワクします!
きっとこの作品は、今も尚、様々な問題を抱えている日本社会の行く末も、未来を創る我々の手に掛かっていることを気付かせてくれるでしょう。
現代の大学生が、学生運動真っ盛りの1968年(昭和43年)にタイム・スリップして、若かりし頃の両親に出会い、共に全共闘として学生運動に巻き込まれて行くという昭和懐古的テーマのミュージカル。鉄骨3階建てのセットが盆に乗って回転する迫力のある舞台で、玉麻尚一作曲によるエネルギッシュな音楽と共に、一度しかない青春の叫びが突き刺さる。懐かしい60年代風アングラ演劇のテイストもあるノスタルジーに彩られた異色のオリジナル・ミュージカル。社会に熱く立ち向かった、昭和の団塊世代の若者たちと、閉塞感のただ中にいる平成の若者を対比させてジェネレーション・ギャップを描き、自分たちの時代は自分たちの手で創って行こうというメッセージを投げかける。
ミュージカル作家・演出家・プロデューサー。 舞台芸術学院でミュージカルを学び、その後ミュージカル座の中心俳優として多くの作品に立ちながら、ミュージカル作家、演出家としても活躍し、「ロイヤルホストクラブ」「トラブルショー」「マリオネット」「タイム・フライズ」「ブレイン・ストーム」「ニッキー」を発表。ユーモアをふんだんに織り交ぜながら、ストーリーの核心へと展開させていく作風と筆力は、新聞等の劇評でも絶賛され高い評価を受け、多数の作品が日本芸術文化振興会の助成対象事業に採択されている。また、ディズニー・アニメ「くまのプーさん」プーの吹替えを2003年から担当し、声優としても活躍している。日テレ学院、日本工学院で俳優・声優・ミュージカル講師として、若手の育成にも力を注ぐ。
一般社団法人日本劇作家協会会員。
作曲家。音楽監督。これまでに150作品を越えるオリジナル・ミュージカルの作曲を手掛けている。近作に『ジュニア』『エンターテインメント・ショー』(ミュージカル座、竹本敏彰演出)、『メサイア』『デビュタント』『凱旋門』(宝塚歌劇団)、『MyDear』(OSK日本歌劇団)『たいこどんどん』(こまつ座、ラサール石井演出)、『全国豊かな海づくり大会2018』(高知県)、『夫婦漫才』(大地真央主演)。またスポレク・植樹祭・高校総体の開会式の音楽監督を務める。『For The People~リンカーン 自由を求めた男』(宝塚歌劇団花組)で読売新聞大賞・スタッフ賞を受賞。
埼玉県出身。國學院大學法学部で学ぶ。11月22日生まれのO型。高校時代の恩師で二期会会員・峰茂樹氏との出会いを機に舞台芸術の世界へ。大學在学中から児童・青少年対象劇団での全国巡回公演、鈴木忠志プロデュース’彩の国秋の舞台芸術祭’原田一樹演出「神の庭園」、蜷川幸雄演出「ロミオとジュリエット」、宇治川まさなり演出「スパイダー」ハマナカトオル演出「野の花」などのストレートプレイを中心に活動。2001年より「ルルドの奇跡」ジャコメ署長役でミュージカルの世界へ。代表作に「赤ひげ」「ひめゆり」「タイム・フライズ」「何処へ行く」、東宝ミュージカル「レ・ミゼラブル」、「ミス・サイゴン」、新演出版「レ・ミゼラブル」など。主演作品には「Celebration」「ルドルフの魔法」「トラブルショー」などがある。俳優、演出家、演技講師、ヴォイストレーナーとして活躍している。ミュージカル座での演出は、2014年「タイム・フライズ」(シアター1010)、2016年・2018年「スペリング・ビー」(六行会ホール)に続いて四度目となる。
2019年02月16日(土) ~ 02月19日(火)
☞ 光が丘IMA 中央館4F
☎ 03-3976-2000
ヒル | ヨル | |
2/16(土) | 12:00 | 17:30 |
2/17(日) | 12:00 | 17:30 |
2/18(月) | 18:30 | |
2/19(火) | 12:00 |
受付開始は、開演の1時間前です。
開場は、開演30分前です。
本公演は、 組・ 組の一部ダブルキャストで上演いたします。出演者の組分けをご確認ください。
出演者ならびに出演スケジュールに変更がありました場合は、何卒悪しからずご了承ください。出演者変更の場合でも、他日への変更、払い戻しはいたしかねます。
残席ある場合は、劇場受付にて当日券を開演1時間前より販売いたします。ご観劇当日のご予約は承っておりません。当日券をご利用ください。
3歳以下のお子様はご入場できません。
車椅子のお客様は、ミュージカル座へご連絡をお願い致します。
この時代(ロック・エイジ)のサウンドが見事に舞台化
瀬川昌久 氏評 【(株)ミュージカル出版社「ミュージカル」編集長】
「従来の竹本コメディと違って今回の主題は、1968年の学生運動の内実をシリアスに描き、学生たちと機動隊の大規模抗争が何回も現れる異色編だ。物語の構成はよく考えられており、全共闘リーダー神崎勝たちのアジ演説など、当時の学生運動の実態もよく再現され、バリケードをはさむ抗争など壮絶な迫力場面も多い。音楽は、今回初めて玉麻尚一の作曲を得てテーマ「タイム・フライズ」」のスピード感あるロック調始め、ギターによる反戦歌など、この時代(ロック・エイジ)のサウンドが見事に舞台化された。最近のオリジナルが、外国を舞台にした作品が多い中で、日本の社会史を改めて見つめ直した竹本とミュージカル座の努力を買いたい。瀬川昌久 氏評「ミュージカル」2010年4月号より
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平成生まれの大学生の何気ない葛藤を描いた社会派ヒューマン・ミュージカルコメディ「タイム・フライズ」2019年として、世代を超えてお届けします。脚本・作詞・演出の竹本氏から演出を引き継いだ2014年。少しではありますが台詞や曲など自分なりに脚色し上演した本作品。平成から年号を変える2019年にこそ相応しい作品と位置づけ、先日IMAホールで新たな息吹を吹き込んだ中本氏のバトンを受け継ぎ、作品が持つ意味や意義を大切に伝えたいと思います。僕の演出からわずか4、5年の間に世界の情勢は著しく変わり、アメリカも近隣諸国も、もちろん日本でも様々なことがありました。例えば、災害が特別なことで無くなるほど多く起きていたり・・・。時代の変化の大波が僕たちの目の前で待ち構えている気さえします。言葉では伝えられないのです。私たちはこの作品を通して“目に見えない何か“を伝えたいと思います。人種や宗教に関係なく、演劇、舞台でしか成し得ない瞬間を是非一緒に体感してください!
「夢や希望に溢れ、熱く、辛く、そして爽やかな風が吹き抜けていきますように」