滝軍曹を演じる小野田龍之介 | 小野田龍之介 |
「ひめゆり」初出演で滝軍曹役を演じる小野田龍之介さん。客席を圧倒する若手屈指の歌唱力はミュージカルファンの知るところ。ミュージカル座では、ブロードウェイ・ミュージカル「アイランド~かつてこの島で~」「カムイレラ」に続く3作品目の出演となります。
小野田龍之介
「初めて「ひめゆり」を観たのが、2000年代のはじめ頃だったと思います。本田美奈子さん主演の時でした。この作品のスケール感に、すごく気持ちが動いたのを覚えています。「ひめゆり学徒隊」というものも、この作品を観て初めて知りましたので、非常に感慨深い作品でした。滝軍曹役で出演のお話をいただいた時に、今まで先輩がやってきたイメージが強かったので、大丈夫かなあと思ったんですけど、やるからには、「ひめゆり」の世界に飛び込んで、その時代の日常を生きようと思います。稽古が始まるまでは、全く掴めなかったのですが、稽古で学徒や兵隊たちと過ごして行くうちに、次第にこの役をキャッチ出来るようになりました。平和な今の時代から考えると、当たり前のように人が殺されて行く戦争という状況は、想像を超えることなんだけど、この時代は、それが日常だったことを考えると、ただ可哀相だったでしょう、大変だったでしょうと思いながら演じるのではなく、とにかくその時代を真っ直ぐ生きて、その人の人生を伝えられたらと思っています。」
梅沢明恵さんとダブルキャストで、かな役を演じ続けている福田奈実さん。1998年、世田谷パブリックシアターで上演された「ひめゆり」に初出演。その後、「ルルドの奇跡」アントワネット役、ジュスタン役、「野の花」主演リーザ役など、多くの舞台に立ち続けています。
福田奈実
「今回のカンパニーは、初めて出演する方が多いので、稽古場に新鮮な空気が流れています。私が初めてミュージカルの舞台に立ったのが「ひめゆり」だったので、その時のことを思い出したりしています。再演組が多い時の「ひめゆり」とは違う、新しい「ひめゆり」が生まれるのではないかなと思います。その中でも、伝えるべきことは、きちんと伝えて行きたいと思います。今回のはる・かな・みさは、楽しんでやれるメンバーです。はる役のたみ(田宮華苗)は、自分が落ち込んでいる時も、たみといると、「ちっちゃいことは、ま、いいか」って思える人です。みさ役のめいめい(柑奈めい)も、飾らないで自然にいられる人なので、稽古で毎回違うように演じても、スムーズに出来る感じです。これから何が生まれるか、楽しみですね。終戦70年、ミュージカル座創立20周年の年に、代表作「ひめゆり」に出演出来ることを大切な縁と思い、きちんと演じて行きたいと思います。」
「ひめゆり」初出演であき役を演じる麦谷八絵さん。東宝ミュージカアルアカデミー・アドバンスコースに進み、ジョン・ケアードのワークショップを受けた時に東宝ミュージカル「キャンディード」への出演が決定。その他、ファミリー・ミュージカルやライヴ等に出演しています。
麦谷八絵
「「キャンディード」の出演が終わって、行く先について悩んでいた時に、「キャンディード」の共演者だったミュージカル座の鈴木智香子さんが話を聞いてくださって、「是非一度「ひめゆり」を観てほしい。出演したら、とても大切なものを受け取れるんじゃないか」と言ってくださって、そこで「ひめゆり」を観劇して、今、出演にいたっております。幼い頃、ひめゆりの塔には何回も訪れているのですが、今回出演が決まってから訪れた時は、責任感を持ちながら資料を見て回ったので、幼い頃とは違った印象で、胸がえぐられるような思いになりました。稽古場は、みんなで切磋琢磨して、たくさん話し合いをして、距離を縮めて取り組んでいるので、すごく充実した毎日です。今、私たちは、直接戦争を体験した方からお話を聞けるぎりぎりの時代にいますので、この先の世代にリアルに伝えられるように、真摯に取り組みたいと思います。」
親泊先生役を演じる井上ゆかりさん。4歳からクラシックバレエをはじめ、京都バレエ専門学校を卒業。バレエ学校時代にミュージカルと出会い、上京してミュージカルの舞台に立っています。今年は「マザー・テレサ 愛のうた」シスター・ニルマラ役、「メリー・ウィドウ」シルヴィアーネ役に出演しています。
井上ゆかり
「3度目の「ひめゆり」、2度目の親泊先生役になります。前回は初めてで無我夢中すぎて、余裕がなかったかなと思い、もう一度落ち着いて、役にも学徒にも向かい合いたいと思いました。親泊先生は自分の意志で従軍した方なので、その責任感の強さに圧倒されます。資料を見ると、親泊先生は、学徒に見間違われたという記載があります。私も背が高い方ではないので、学徒たちに埋もれてしまうかもしれませんが、仕事ぶりなどで先生らしさを出せたらいいなと思います。私の祖母は今年88歳で、ちょうどひめゆり学徒の方たちと同じ年齢です。今の時代に生きていらっしゃったら、私ぐらいの孫に囲まれているのかと思うと、人生が絶たれてしまった多くの方々の無念さが偲ばれます。」
上原婦長(木村花代)と学徒 | 「小鳥の歌」を歌う水野貴以 |
ステージングも第二幕に進んでいます。実力ミュージカル俳優の圧倒的な歌声が胸に響く場面が続きます。