ミュージカル座
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No.2  

No.4

-No.3-

2003年8月から2004年6月までの私の仕事の覚え書き。まとめて書きます。

■2003年8月「ガールズ・オン・ブロードウェイ」(ウッディシアター中目黒)


劇団員の深沢美貴子と桑原麻希が、「ミュージカル座でもショーをやりたい!」と言って来て、「そんじゃやろう。」とつくった舞台。ショー構成と振付は彼女たちにまかせ、ショーをつなぐ芝居部分の脚本と、全体の演出を私が担当。ウッディシアターは、ミュージカル座では普段出来ないような舞台をつくって来たところで、「ママの恋人(コメディ)」「野の花(シリアスな現代劇)」と続き、3回目はショーというのも面白いと決断。小さな舞台ながら、踊りのハードさはミュージカル座の作品の中でもトップ。総がかりで振り付けたダンスシーンは、シド・チャリース風、ボブ・フォッシー風、スーザン・ストローマン風ありと、ミュージカル・ファンを喜ばせる力作ぞろいで、なかなか見応えがあった。間にはさんだ脚本は、ブロードウェイに生きる女性たちを描いた5つのドラマが、徐々に進んで行って、最後に劇場に全員集結するというもの。この脚本は、数年前に舞台芸術学院の卒業公演のために書いたもので、いつかミュージカル座でレベルアップした公演をやってみたいと思っていたのである。努力の甲斐あり、舞台はなかなか好評で、ミュージカル評論家の風早美樹先生は、見終わった後「これはもう一度見たい」とおっしゃってくれて、2度観劇された。夏休みの公演で、たまたま地方の高文連文化教室の先生方が別の劇団を見に東京に来ていて、ついでにという感じで初日の舞台を観劇されたところ、とても気に入ってくれて、来年の地方公演が9ステージ決定するというおまけがついた。

■2003年10月〜11月「ニューヨーカーズ」(品川六行会ホール)


新作。9・11以降に起こったアメリカによるアフガン攻撃、イラク戦争が、私の頭の中でトルストイの「戦争と平和」のストーリーとぴったりと重なったので、そのアイディアをミュージカル化。現代のニューヨークを舞台に、「戦争と平和」の登場人物たちのドラマが、ほとんど原作通り進行する作品である。富豪の私生児として生まれた内省的な主人公のピエールは、軍需産業の社長の息子ジェイソンに、映画「戦争と平和」でオードリー・ヘップバーンが演じたナターシャは、ジャーナリストを目指す女子学生に、偉大な父親の影響から逃れられない侯爵アンドレイは、上院議員の息子アンドリューとして登場。2001年9月11日の同時多発テロに巻き込まれたニューヨークの人々のその後2年間を描いたドラマで、今を生きているミュージカル作家として、どうしても作りたかった作品だった。主人公のジェイソンを演じたのは、ミュージカル座初登場の高野絹也さん。彼は、2002年の「ママ・ラヴズ・マンボU」の時、岡幸二郎さんの稽古場代役として初めてお付き合いをさせていただき、安定した歌唱力と、知的な演技に好感を持っていた。舞台芸術学院の出身で、ミュージカル座の多くの劇団員の先輩でもあるし、いつかミュージカル座を手伝ってよと声をかけていた。出ずっぱりの役で、膨大な台詞量と、多くのナンバーと文字通り格闘していただき、主役として頑張ってくれた。足を向けては眠れない。また、出産と育児で舞台を休んでいた片岡直美が、しばらくぶりで舞台に立ち、さすがの演技を披露してくれたことも嬉しかった。ミュージカル座は、結婚しても子供を産んでも続けていける劇団であると私は言いたいのだ。この公演、六行会ホール主催の「ネクストリーム21」というフェスティバルに参加していたため、劇場費が安くすんだ。プロデュースされていたのは舞芸の声楽講師でもある米田先生で、貧乏な劇団に声をかけていただき、ありがとうございました。平成15年度文化庁芸術祭参加公演。

■2004年2月「ひめゆり」(東京芸術劇場中ホール)


第6回東京芸術劇場ミュージカル月間参加公演。2001年の「ルルドの奇跡」以来、3年ぶり2回目のミュージカル月間参加である。今年は、19団体が応募して合格3団体だったそうで、わらび座「アテルイ」、メジャーリーグ「ハムレット」と、高い評価を得ている舞台との競合で、ミュージカル座としても力がはいった。「ひめゆり」は東京4演目で、前回も同じ東京芸術劇場であったので、私としては、演出上、改善したい箇所がはっきり分かっていた。持ち役となってきた本田美奈子さんのキミ役(2回目)、岡幸二郎さんの滝軍曹(3回目)に、新たに土居裕子さんの上原婦長と、戸井勝海さんの檜山上等兵が加わり、作品に新たな魅力を与えてくれたことが、今回のトピックスだった。これまで2度上原婦長を演じてくれていた鈴木ほのかさんが、すでに別の舞台への出演が決まっていたため、しばらくどうしようか悩んでいたら、土居裕子さんがミュージカル座の舞台を見に来てくれて、劇場のロビーでばったり。「あっ、そうだ!」と突然ヒラメいて、上原婦長をやってもらえるかと聞いたら、ちょうどこの2月は空いているというラッキーな返事。ミュージカル座には土居さんのファンが多く、彼女との共演はみんなの夢でもあったので、大願成就。同じく禅さんが「エリザベート」出演中のため、ビリーさん、岡さんの推薦で戸井勝海さん初出演。「ナイス・ガイ賞」を差し上げたい素敵な人で、歌も演技も人柄もすばらしく、いい人に巡り合ったと感謝。ほかに、音楽座で活躍していたバビ(浜崎真美)さん、フォーリーズで活躍していた本間識章さん、ステップスで活躍していた川村絵良さん、四季で活躍していた矢野香苗子さん、文学座の鬼頭典子さん、レミ組の浦壁多恵さん、井上喜代子さんなど有名実力派の出演者多し。ふみ役の鈴木智香子、川田真由美を筆頭に劇団員も頑張り、「ひめゆり部隊」がミュージカル月間優秀賞を受賞。観客動員数が6000人を突破した初めてのミュージカル座公演となった。

■2004年4月「ママ・ラヴズ・マンボV」(アートスフィアほか)


黒木瞳さん主演のシリーズ3作目で、新台本・新曲・新キャストでの製作だった。黒木さんのニュース・キャスター役と、恋人役、息子役の設定は残し、ストーリーを新たにつくり直した。プロデューサーの稲垣さんの要望は、キャスター役の黒木さんとディレクター役の赤坂さんとを、激しく喧嘩させてほしいということだった。話を聞いてすぐに思い浮かんだのは、MGMミュージカルの名作「バンドワゴン」だった。ディレクターとキャストとの意見が合わず、衝突を繰り返してショーが失敗に終わり、そこから立ち直るという「バンドワゴン」のストーリーを、テレビ局のニュース番組に移しかえた。ニュース番組を背景にした脚本なので、この作品を書いている時は、ニュースを見ることが欠かせない。ちょうど4月は番組改編の時期に当たり、新しいキャスターが誕生して話題になったりしていたので、タイムリーな脚本に仕上げたいと思っていた。今回は、売りとして初めてタップダンスを入れることになり、藤井真梨子さんがタップの振付に参加。その他の主な振付は南流石さん。また前回、前々回は録音のオケだったが、今回はヴァージョンアップを狙って、豪華に6人の生バンド演奏が実現。ビリーさんが舞台上でピアノを弾いた。恋人役はジャニーズの赤坂晃さん。息子役も同じくジャニーズの生田斗真君。アンサンブルの男女10人は、オーディションで歌って踊れる人材を決定。衣装は第一人者の小峰リリーさん。照明はムーヴィング20台のほか、流行のLED(発光ダイオード)の電飾を使って一段と色あざやかになるなど、プロデューサーの力の入れ具合がヒシヒシと感じられるシリーズ最新作となった。振付も今までで一番ハードな仕上がりとなったが、全力で踊っても、黒木さんの息があがらなくなっていることに感心した。回を重ねるごとに、体力がアップしているのだ。アンサンブルのオーディションは、とても狭き門だったが、ミュージカル座の桑原麻希が女性5人の中に合格し、2度目の「マンボ」出演。合格と同時に藤井真梨子さんのところへタップのレッスンに通い、舞台に備えた。私は東京公演のあと、福岡公演(福岡メルパルクホール)にも同行したが、さすが黒木さんの地元であるだけに、アットホームな、いい公演となっていたことが印象的だった。特別協賛=三井住友海上火災保険株式会社。

■2004年6月「ひめゆり」「ガールズ・オン・ブロードウェイ」旅公演


(株)東京音楽鑑賞協会の製作によるミュージカル座作品の旅公演。3年続いた「アイ・ハヴ・ア・ドリーム」に続き、今年は2作品の上演である。5月から「ひめゆり」組と「ガールズ」組に分かれ、ミュージカル座で稽古。劇団員が一人も重ならず2班に分かれて、2作品の稽古を行うことが出来、劇団の層が厚くなってきたことを実感した。「ひめゆり」は長野県飯山市民会館で3ステージ。「ガールズ」は山形市民会館で2ステージやったあと、石川県に移動して、小松市公会堂、加賀市文化会館、コスモアイル羽咋、金沢市観光会館で7ステージ。私は「ひめゆり」の初日と「ガールズ」の3会場に同行した。「ひめゆり」では主演のキミ役を、世田谷パブリックシアター以来6年ぶりとなる伊東恵里さんが演じ、その他のキャストは、土居裕子さん、岡幸二郎さん、戸井勝海さんほか、2月の東京公演とほぼ同じメンバーが出演。これってすごい豪華キャストですよね。キャスト32名、スタッフ15名、総勢47名からなる大ツアーだったが、会場の飯山市民会館は今回の旅の中で一番小さく、東京芸術劇場版の舞台装置が半分も立て込めなかったため、本来の迫力ある演出が見せられなかったのはちょっと残念。ところが、東京公演を小劇場で上演した「ガールズ」の方はもっと大きなホールばかりで、ああ、逆だったらよかったのにというのが正直なところだった。旅公演は、作品によって、会場によって、全く事情が異なるため、劇団にとってはいい勉強になる。今回も、貴重な経験をさせてもらった。また、歌と踊りと芝居が全部見られるミュージカルというジャンルの持つ力と可能性を、今回の旅で感じることが出来たのも収穫だった。やがてもっと長期間の全国公演や、海外公演、そして念願のブロードウェイ、ロンドンでの公演が実現するまで、旅の経験を積み重ねて、力をつけて行きたいと思う。

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