お 詫 び

   ミュージカル座代表のハマナカトオルでございます。

   この度は、ミュージカル「ひめゆり」の稽古場において新型コロナウイルスのクラスターを発生させ、皆様にご心配ご迷惑をおかけいたしまして本当に申し訳ございませんでした。劇団代表者、「ひめゆり」作・演出者として、心より深くお詫び申し上げます。多くの関係者が陽性となって、入院・ホテル療養となり、つらく不安な日々を過ごされるという最悪の事態となりましたこと、そして、緩和に進む傾向にあった舞台業界に混乱を招きましたことを、大変心苦しく思っております。

   今回の事態でPCR検査を受けたのは、「ひめゆり」関係者91名と他劇団関係者含め、計117名。そのうち陽性者76名、陰性者41名。陽性者は全員「ひめゆり」関係者でした。陽性者は全員が無症状又は軽症であり、すでに全員が退院やホテル療養を終えております。

   マスク・消毒・手洗い・検温・換気等の対策を行っていましたが、たった一日で稽古場の大多数に広がるという感染力の強さは、想像をはるかに超えるものでした。8月中目黒キンケロ・シアター(小劇場)での1ヶ月弱にわたる連続3公演を、キャスト・スタッフ・お客様に一人の陽性者も出さずに無事上演出来たことから、「ひめゆり」でもこの経験を活かし、最善の努力をして感染対策に取り組んでおりました。しかし、さらに徹底的な感染対策を講じなければ、このコロナ禍の時代には演劇を主催出来ないことを思い知らされました。

   ミュージカル座は現在、埼玉県とさいたま市の指導を仰ぎ、よりリスクの低い上演方法を構築するため、連日話し合っております。例えば、専門家の指導を受けて除菌と換気方法の改定、稽古の進め方、リモートでの情報共有の充実化、マスクについての再検討、稽古場の使用方法、PCR検査の義務化、稽古時間帯以外での出演者及び関係者の行動把握など。これからも課題は多く出てくるかと思いますが、今回の感染拡大の原因追究を含め、専門家の指導も受けながらガイドラインの作成を進めてまいります。

   今年度は、4月公演「アワード」の上演中止に始まり、10月公演「ひめゆり」の上演中止まで、上演が実施できたのは8月の小劇場公演のみという状況で、年間の売り上げは90%以上の減となりました。今に至るまでの劇団は、皆様のご協力によるクラウドファンディングでの資金調達や、日本政策金融公庫、埼玉県の新型コロナウイルス特別融資を利用した最大限の融資を受けてまいりましたが、「ひめゆり」の公演直前での上演中止という最悪の事態を受け、ミュージカル座は当面の間、全ての公演活動を中止せざるをえなくなりました。

   連日幹部スタッフによる激論を続けて参りました。日本のオリジナル・ミュージカルの灯をなんとしても未来に存続させたい。日本のミュージカルとして20年以上も再演を重ね、評価の高い「ひめゆり」等の作品の上演を続けたい。ただいまの結論と致しましては、来年以降の感染状況を見ながら、活動再開を目指してまいりたいと存じます。皆様には、大変、ご迷惑とご不便をおかけ致しますが、活動再開までどうかお待ち頂きますよう、お願い申し上げます。

   お詫びばかりのご報告となりましたが、今後、舞台上でのディスタンスをたもった新作ミュージカルやコンサート台本の執筆、映像製作など、コロナの時代でも実現しやすい企画を作り、少しでも改善に繋げることが出来ますよう、この時間を最大限に使って、将来のために備えます。少し時間はかかりますが、いつか、より魅力的なミュージカル座として新しく生まれ変わり、また創作活動が出来ますよう、命を賭けて努力を続けますので、ご理解のほど何卒よろしくお願い申し上げます。

 

令和2年11月2日  有限会社ミュージカル座 代表取締役 ハマナカトオル