スウィングボーイズ

ジャズ評論家瀬川昌久氏の2冊の著書「ジャズに情熱をかけた男たち(長崎出版)」と「ジャズで踊って(清流出版)」をもとに、ジャズが弾圧された太平洋戦争時の若きジャズマンたちの悲喜劇を描いたオリジナル・ミュージカル。当時の学生バンドマンに扮した俳優たちが、長期間の合同練習によって、実際にスウィング・ジャズを生演奏。ミュージカル「上海バンスキング」の平成版と評価され、第8回東京芸術劇場ミュージカル月間優秀賞〔作品〕を受賞した。昭和初期から日本に入ってきたジャズは、日本人の心をとらえ、各地で大学生のジャズバンドが結成された。だが、日本はアメリカとの戦争を開始。ジャズは“敵性音楽”として弾圧されて行く。ダンス・ホールは閉鎖され、欧米式のレビューも禁止、ジャズ・レコードは供出を余儀なくされる。敵の文化を愛してしまった悲劇であった。学生たちは、生きていた記念にと、ひそかに集まってジャズ演奏の録音を行い、それぞれの戦地へと旅立って行くのだった。瀬川氏が痛烈な思いで書き残した戦争による文化の弾圧を、笑いと涙とたっぷりのジャズで描き、活力溢れる音楽劇となった。
若きバンドマンのリーダー、東堂孝之に高野絹也、孝之の父で洋楽好きな東堂男爵に宝田明、その妻昌子にペギー葉山、二人の長女でダンスの得意な純子役に大浦みずき、純子をレビューの道に誘う山下役に戸井勝海、東北からジャズ歌手を目指して上京した敏子役に伊東恵里と、充実したキャスト陣の演技も高く評価された。原作・監修=瀬川昌久、作曲・編曲・音楽監督=山口e也、脚本・作詞・演出=ハマナカトオル、振付=前田清実、製作=スウィングボーイズ製作委員会、制作=エディス・グローヴ、ミュージカル座、プロデューサー=小林敬、ゼネラル・プロデューサー=石川志都子、主催=財団法人東京都歴史文化財団、東京芸術劇場、株式会社アールケーシー、後援=銀座山野楽器。
2006年2月、第8回東京芸術劇場ミュージカル月間公演として東京芸術劇場中ホールにて初演。

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