ブロードウェイ殺人事件

アガサ・クリスティのような純然たる推理劇のミュージカルがあったら、という発想でつくられたミュージカル。ブロードウェイの劇場で大女優のマリオン(田中利花)が殺された。さっそくニューヨーク市警のアポロ警部(林アキラ)が捜査に乗り出すが、調べてみると、大女優の周囲の人物は、プロデューサー、演出家、脚本家、振付家、共演の俳優、代役の新人女優、コーラスガール、楽屋係にいたるまで、皆わがままな大女優に恨みを持っていて、誰もが怪しかった。さて、犯人はいったい?アポロ警部の執拗な捜査によって殺人事件の全貌が次第にあきらかになり、アポロ警部は、殺されたマリオンの代役である新人女優ジュリー(伊東恵里)に狙いを定めていく。ショーの場面もふんだんに取り入れた肩が凝らず楽しめるエンターテインメント作品で、ミュージカル座の新しいジャンルを開拓した。ミュージカル座初出演の田中利花が、コミカルでダイナミックな魅力を発揮して会場を湧かせ、普段は純情な役どころの多い伊東恵里が、殺人犯かと思わせるアブナイ役どころなのも一興。林アキラ演じるアポロ警部を主人公に、シリーズ化も検討されている楽しい作品だ。

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〔舞台写真〕