センス・オブ・ワンダー

森林の環境破壊を警告する著書「沈黙の春」でアメリカに衝撃を与えた女性海洋生物学者レイチェル・カーソン(1907〜1964)の生涯を描いたミュージカル。美しい自然を守るために、たった一人で国や企業を相手に戦った勇気ある女性の物語。緑豊かな森の中で、自然を愛する家庭に育てられたレイチェルは、幼い頃から作家になることを夢見ていたが、海に憧れ、海洋生物学者となって海辺の生物の研究に没頭する。やがてワシントンD.C.の漁業局にラジオ番組「おさかな物語」の台本作家として雇われ、公務員生活のかたわら、海を描いた著書「潮風の下で」「われらをめぐる海」「海辺」を出版し、ベストセラー作家となる。ある日、レイチェルのもとに一通の手紙が届けられる。政府によって空中散布された農薬によって、森の鳥たちが次々に死んでいるというのだ。レイチェルは、森の生き物たちの命を守るため、「沈黙の春」を出版し、国や企業を相手に戦うが、ついにケネディ大統領の指示で農薬の被害に関する調査が開始され、レイチェルの正しさが認められる。題名の「センス・オブ・ワンダー」とは自然の美しさ不思議さに目をみはる感性のことで、レイチェル・カーソンの最後の著作の題名でもある。全編、歌で進行するポップ・オペラ形式の作品で、タイトル・ナンバー「センス・オブ・ワンダー」ほか、「緑の世界」「海辺」「水の惑星」など、美しい自然をテーマにした32曲のミュージカル・ナンバーで綴られている。レイチェルの女学生時代から晩年までを演じた伊東恵里が素晴らしい演技を見せた。

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〔舞台写真〕