アイ・ハヴ・ア・ドリーム

1955年、アメリカ、アラバマ州モントゴメリーで起こったバス・ボイコット事件をきっかけに、人種差別に苦しんでいた黒人たちが自由と平等を求めて立ち上がる姿を力強く描いたミュージカル座の人気作。題名の「アイ・ハヴ・ア・ドリーム」は、黒人公民権運動の指導者マーティン・ルーサー・キング牧師の演説からとられたもの。物語は、貧しい黒人女工たちが働くアネットの店で起こる出来事を中心に、キング牧師に夢をかける主人公のジャネット、白人青年と恋に落ち、黒人との板ばさみになって苦悩する混血黒人のフィリス、暴力的な白人の秘密結社KKKと対決しようとするスパイク率いる黒人グループ「キッズ」などのドラマが展開する。山口e也とハマナカトオルがコンビを組んで最初に書き上げたのがこの作品で、芝居部分を含んだオーソドックスなスタイルのミュージカル・プレイとなっている。ミュージカル座での上演は「ひめゆり」より遅れ、97年12月に初演。その後、台本・演出を練り直し、新曲を加えて99年8月に再演。2000年6月には初めての地方公演をおこなった。初演、再演とも主人公のジャネット役は吉岡小鼓音が演じ、再演時よりフィリス役で伊東恵里が参加している。スパイク役の竹本敏彰、リン役の狩俣咲子、アンジェラ役の川田真由美、サンシャイン役の梅沢明恵など、自身の代表作となっている役柄も多い作品だ。「自由への行進」など、ドラマティックな22曲のナンバーから15曲を収録したCDが発売されている。

2000年〜2002年は旅公演のレパートリーとなり、石川県金沢市観光会館、小松市公会堂、七尾サンライフプラザ、長野市民会館、中野市民会館などにて上演。旅公演の主なキャストは、ジャネット/吉岡小鼓音、フィリス/伊東恵里、リン/狩俣咲子、マイク/萬谷法英、スパイク/竹本敏彰、トム/中本吉成、アネット/片桐和美、ベス/大久保美鈴、リーナ/片岡直美、ダイアナ/福地洋子、アンジェラ/川田真由美、サンシャイン/梅沢明恵、ナスティ/村上由香。

2003年5月、IMAホールにて竹本敏彰演出による東京再々演。このときのキャストは、ジャネット/手塚順子・会川彩子、フィリス/南アイ・藤澤知佳、リン/大久保美鈴・狩俣咲子、マイク/谷代克明・奥山寛、スパイク/摩尼貴法・大久保慶、トム/菊池まさはる・広田勇二、アネット/福地洋子・三宅文子、アンジェラ/川田真由美・蒔田舞子、サンシャイン/梅沢明恵・新藤幸子ほか。キャストと演出を一新した熱いステージとなった。

2006年6月、銀座博品館劇場にて東京第4演。ジャネット/鈴木智香子・川田真由美、フィリス/浦壁多恵・片桐和美、リン/桑原麻希・狩俣咲子、マイク/原田優一、スパイク/阿部よしつぐ、トム/高原達也、アネット/井上珠美・福地洋子ほかのキャスト。演出はハマナカトオル。東京公演終了後、中学生の芸術鑑賞会として、ルネこだいら大ホールにて上演した。

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〔舞台写真〕