ひめゆり

太平洋戦争末期の昭和20年、激戦の沖縄で犠牲となった ひめゆり学徒隊の悲劇を、全編歌だけで進行するポップ・オペラ形式のミュージカルとして描いた作品で、熾烈をきわめた沖縄戦を重厚な音楽によって舞台上に再現、歌の持つ説得力を再確認させたと評価された。1996年12月、ミュージカル座旗上げ公演として初演され注目を浴び、1998年、規模を拡大して再演、月刊ミュージカル誌選定の1998年度ミュージカル・ベストテン(再演)の第7位に選出された。「エビータ」や「レ・ミゼラブル」のような全編歌で進行するスタイルの和製ミュージカルをつくりたいと考えていた山口・ハマナカのコンビが最初に作り上げたポップ・オペラで、再演時には学徒隊のリーダーを演じた伊東恵里、学徒隊たちを励ます婦長役を演じた鈴木ほのか、狂気の鬼軍曹を演じた岡幸二郎ら、ポップ・オペラで鍛えた実力派の歌い手たちが高い歌唱力を披露。600名を越えるオーディションで選ばれた若手の実力者たちがひめゆり学徒隊に扮して鬼気迫る迫真の演技を見せた。ひめゆり学徒隊の悲劇は、これまでに4度映画化されているが、ミュージカル化は初めて。戦争のむなしさと命の尊さ、次代に語り継がなくてはならない平和への祈りを力強く歌い上げたミュージカル座の代表作。

2002年10月〜11月、文化庁芸術祭参加作品として、東京芸術劇場中ホールで再々演。この時の出演者はキミ/本田美奈子、上原婦長/鈴木ほのか、滝軍曹/岡幸二郎、檜山上等兵/石川禅、ふみ/鈴木智香子、片桐和美、杉原上等兵/萬谷法英、中本吉成、ちよ/手塚順子、浦壁多恵、ゆき/三辻香織、菅原さおり、はる/川田真由美、深沢美貴子、かな/梅沢明恵、大久保美鈴、みさ/矢野香苗子、村上由香、神谷先生/竹本敏彰、サチ/桑原麻希、足立紫帆ほか。さらに新曲が加えられ、ミュージカル・ナンバーは41曲となった。2002年度ミュージカル・ベストテン(再演)第9位。

2004年2月、第6回東京芸術劇場ミュージカル月間公演として、わらび座「アテルイ」、メジャーリーグ「ハムレット」と共に上演。主な出演者はキミ/本田美奈子、上原婦長/土居裕子、滝軍曹/岡幸二郎、檜山上等兵/戸井勝海、ふみ/川田真由美・鈴木智香子、はる/片桐和美・鬼頭典子、かな/梅沢明恵・川村絵良、みさ/三宅文子・矢野香苗子、杉原上等兵/中本吉成・萬谷法英、神谷先生/本間識章・竹本敏彰、サチ/桑原麻希・浜崎真美ほか。観客動員数が6000人を突破。「ひめゆり部隊」が東京芸術劇場ミュージカル月間優秀賞を受賞。

2004年6月、長野県飯山市民会館にて初の地方公演。出演はキミ/伊東恵里、上原婦長/土居裕子、滝軍曹/岡幸二郎、檜山上等兵/戸井勝海、ふみ/鈴木智香子、はる/片桐和美、かな/川田真由美、みさ/木村美穂、杉原上等兵/中本吉成、神谷先生/萬谷法英、サチ/浜崎真美ほか。

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〔舞台写真〕